Mas Baux

マス・ボー

情熱の人、セルジュとマリー・ピエール
地中海のリゾート地カネ・アン・ルシヨンの郊外にある12ヘクタールの美しいドメーヌ、マス・ボー。1998年、セルジュ・ボーと妻のマリー=ピエールが「一目惚れ」し購入、ワイン造りを始めました。セルジュはもともと山側のランサックという村で鉱石関係の仕事をしていましたが、ワイン造りという全く畑違いの仕事にチャレンジするべくこの土地へやってきました。ファースト・ヴィンテージは2002年。発想豊かなセルジュとマリーが造り出す、現代の嗜好を見事に捉えたワインで、ルシヨンのスター・ドメーヌの仲間入りを果たしたのです。
                                     ピレネー山脈の恩恵とビオロジック栽培           

2人が購入を決めた理由は、この土地が持つ優れたテロワールにもありました。ここは2000年以上のブドウ栽培の歴史を持つ場所で、年間約260日の日照に恵まれる雨の少ない地中海性気候。一年を通して吹き付ける風(北西からのトラモンタンヌと北からのミストラル)が重要な役割を果たしています。高台に広がる第四世紀の土壌は水はけがよく、深さ1.5~2メートルの粘土の層をシャトーヌフ・デュ・パープやコスティエール・ド・ニームのような小石が覆っています。この小石は日中の太陽の熱を吸収し、夜にはその熱を放出し地表を温めブドウの熟成を助ける役割を果たします。また暑い日中でも地中海からの涼しい海風が吹き込み気温の過剰な上昇を抑えるのです。セルジュは当初から環境に配慮した栽培を心がけ、2009年からビオロジックによる栽培を実践。2013年からは全てのワインにカリテ・フランスのビオ認証が付き、さらに人気沸騰。毎年リリース後には完売状態が続いています。 
 
大好きなムールヴェードル
セルジュはブドウが色づき始める7月半ば、除葉とグリーン・ハーベストを行います。こうすることで風通しを良くし薬剤の使用を減らすことができ、収量を制限し凝縮感のあるブドウを得ることができます。彼が特に愛する品種はムールヴェードル。「ワインにブレンドすることで骨格を出すことができるけれど、栽培は難しい品種。房が大きすぎてしっかりと熟させるのが難しい品種なんだ。そのままの形で畑に実らせておくと熟度は上がらないまま先端から腐ってきてしまう。それで熟度を上げるために考え付いた方法が実を半分切り落とすこと。全ての房にこの作業をするには膨大な時間がかかる!こんな風にこの品種を育てている人はルシヨンでも2、3人しかいないよ(笑)」ムールヴェードルの平均収量は約21hl/ha、1本のブドウの木に5、6房のみ残します。シラーとグルナッシュもグリーンハーベストで収量を制限し、ドメーヌ全体での収量は約25hl/haとかなり低く抑えています。