Domaine Brusset

ドメーヌ・ブリュッセ

2010年に初めてドメーヌを訪問して以来、色々な南ローヌのワインをテイスティングしてきましたが、いつも頭の中にブリュッセのワインの強いイメージが消えることがなく、価格とクオリティーのバランスを考えるとき、これを超えるものになかなか出会うことが出来ませんでした。それは、各方面で高く評価されるジゴンダス、レ・オー・ド・モンミライユだけにとどまらず、気軽に楽しめるコート・デュ・ローヌ、そしてヴィラージュのケランヌ、ヴィオニエ100%の素晴らしいキュヴェ、クラヴェルについても言えることですが、彼らのワインには常にピュアな果実のフルーツや、この地域特有の豊かなスパイスやハーブのアロマがふんだんに感じられ、とても満たされた気分にさせてくれるのです。
ドメーヌ・ブリュッセは1947年に現在のオーナー、ローラン・ブリュッセの祖父アンドレ・ブリュッセが創設したドメーヌです。彼は世界大戦が終わった1945年に協同組合へブドウを売却することを止め、ドメーヌ元詰めを始めました。アンドレは当時アプリコットの需要の方がワインよりも圧倒的に多かった時代にさえ、一ドメーヌとしてワイン産業に明るい未来を描いていた、先見性のある人物です。1999年のアンドレの死後、息子のダニエルがドメーヌを世界的なレベルにまで高めました。その役割を果たしたのは、南ローヌを代表する山ダンテル・ド・モンミライユの斜面のテラス状の畑から生まれ、新樽で熟成されるジゴンダス、オー・ド・モンミライユです。ダニエルは当時初めて新樽でジゴンダスの熟成を試みた人物の一人で、このキュヴェの成功でブリュッセは一躍有名になったのです。

そして現在、3代目のローランにワイン造りの技術はもとより、哲学や情熱までも引き継がれています。彼は常にリスクを取って素晴らしいワインを生み出すことに力を注いでいます。赤ワインの熟成中も、澱引きを敢えて行わず、加えて定期的に澱を撹拌することでワインにさらなる奥行きが加わる可能性が広がると言います。現在、ドメーヌで造り出す赤ワインは97%を占めていますが、彼は同じ情熱を白ワインにも注ぎ、特有のモダンなアプローチでその手腕を遺憾なく発揮しています。

ドメーヌが所有する87haの畑は、カーヴがある本拠地のケランヌをはじめ、オランジュ、ボレーヌ、ヴェゾン・ラ・ロメーヌの町に囲まれた区域の中の、最良のテロワールに恵まれた場所にそれぞれ存在します。彼らが求めるワインは、それぞれのテロワールで育まれたブドウが持つ果実の風味がしっかりと表れており、構造、表現力がともに豊かで、時間の経過とともに研ぎ澄まされていくワインです。そのため、アペラシオンによりますが、収量は25hl/ha、高くても35hlまでにとどめています。ワイン造りにおいては、自然酵母を使用し完全に除梗、セパージュごとに醸造、赤ワインに対しては14度で低温マセラシオンを行います。また、フランスでも他にない設備として、最適な抽出のために自動でピジャージュを行う機械(Robopigeur)を備えています。そして赤ワインは絶対にフィルターにかけません。