Ermitage du Pic Saint Loup

エルミタージュ・デュ・ピック・サン・ルー

モンペリエから約20キロ、AOCコトー・デュ・ラングドックの中でも最も北に位置し、その優れたワインを生み出すことから一目置かれてきたピック・サン・ルーは2016年9月、赤とロゼが正式に単独のAOCに認定されました。この場所のシンボルはもちろん、強い圧力を受け褶曲した鋭い三角形のピック・サン・ルー(658m)と、向かい立つようにそびえるロルテュスの切り立ったカルスト台地(512m)です。1992年、グザヴィエ、ピエール、ジャン・マルクのラヴァイユ三兄弟が始めたドメーヌ、エルミタージュ・デュ・ピック・サン・ルーではもともと祖父が羊の放牧とチーズの生産を行っていた場所で、ブドウの栽培も行っていたものの収穫したブドウは協同組合に売っていました。ラヴァイユ家はこの地に1千年以上も住み続け、この土地に精通しており、3人はこの土地でこのテロワールの複雑性を表現した真摯なワインを作りたいという共通の願望を持っていたのです。17世紀から伝わるラヴァイユ家の紋章に描かれた3匹の魚はピック・サン・ルーの山の名の由来となったサン・ルーの伝説を示唆するだけでなく、この地に根を張った三兄弟の熱意に満ちた共作という大きな意味が含まれています。    
                
 
ドメーヌを興して間もなくビオロジックによる栽培をスタート。数年前からはビオディナミによる農法こそが自分たちの思い描くワインを作り出せる方法だと結論付け、実践しています。エルミタージュの比較的高地にある45haのブドウ畑は、長い間かけて隆起や浸食などを繰り返した複雑な構造をなし、泥灰土やドロマイト(白雲石)から赤や白い粘土、砂やシスト、丸いゴロゴロとした石など様々な土壌からなります。夏は暑く非常に乾燥していながらも夜間は涼しく、冬には成長期のブドウが必要な水分を十分に補う降雨量に恵まれ、これらの複雑な土壌とブドウ品種の微妙な組み合わせにより、バランス良いワインが生み出されます。またそれぞれの品種はボーカステルやゴービー、タンピエ、ティエリー・アルマンの畑からのセレクション・マッサルによるもの、これがエルミタージュのワインの味わい深さの一つの要因。ブドウが完熟したのをじっくりと見極め、涼しい朝方に手摘みで収穫、ブドウにストレスを与えないようすぐに醸造へ回し、テロワールごとセパージュごとに醸造、自然の力を最大限尊重し、天然酵母のみ使用し補酸も一切行いません。熟成はバリックまたはドゥミ・ミュイなどの大樽をキュヴェにより使い分けます。こうして栽培から醸造、熟成に渡って一貫した彼らの哲学が赤いフルーツの純粋な甘み、幾層にも重なる複雑な味わいと土壌までもが脳裏に浮かんでくるような強いミネラル感とピュアなブドウの味わいを持つワインを生むのです。