Borie la Vitarèle

ボリー・ラ・ヴィタレル

サン・シニアンの東、コッス・エ・ヴェイランの村の山の中にあるボリー・ラ・ヴィタレル。サン・シニアンでも指折りのドメーヌで、1990年からカティとジャン・フランソワ・イザルンが造る個性的なワインは、フランス中の有名レストランのワインリストに掲載されています。名前にあるVitarèleはこの辺りの地名で、Borieはラベルに描かれているような、南仏特有の石片を積み上げた小屋を指します。自作のその絵は多才なジャン・フランソワによるもの。ラングドックのビオディナミのパイオニア的存在であり、多くの仲間に慕われていた彼が2014年、トラクターでの作業中に命を落とした事故はワイン界に大きな悲しみを与えました。
現在ドメーヌを運営するのは妻のカティと娘のカミーユです。ラングドックでも偉大なワインを造れることを証明したいというジャン・フランソワの思いを受け継ぎ、ビオディナミを続けています。自家製の堆肥に加え、病害対策としてトクサやイラクサ、ヨモギやローズマリーなどを煎じたものに微量の硫黄、銅を混ぜ合わせた薬剤を使用します。森の中にある20ヘクタールの畑は、他の生産者からの影響を受けずに済むという利点だけでなく、完全なエコシステムによって生まれる自然界からのエネルギーを吸収することができるという、ビオディナミには最適の環境。粘土の混ざった石灰、シスト、小石など、多様かつ生命力の強い土壌から生まれるワインはそれぞれ育った土壌の特徴を表していながらも、心地よい柔らかさがあります。
収穫は13キロの小さなケースを使い丁寧に手摘みで行います。熟度はもちろんのこと、フレッシュ感が失われないよう注意し収穫にあたり畑で選別。「カーヴに入ったら、最低限手を加えるだけでいいんだ」。似通った風味になるマセラシオン・カルボニックは行いません。醸造時のSO2は無添加、除梗後、蓋なしのタンクへ重力に従い移動、酵母は加えず、抽出しすぎないよう優しくピジャージュ。ドゥミ・ミュイ(大樽)またはコンクリートタンクで12-18ヶ月熟成し、その間澱引きは2回までにとどめています。無清澄・無濾過で瓶詰め、SO2の添加もごくごく少量にとどめることで凝縮していながらも、ふんわりとした柔らかいエネルギーが感じられ、口に含むたびにジャン・フランソワの満面の笑顔が思い出されるようです。 
“ジャン・フランソワ・イザルンは2014年の春、あの世へと旅立った。まさにボリー・ラ・ヴィタレルのワインが2013ヴィンテージと共に絶頂期を迎えたタイミングと同時期に。サン・シニアンというアペラシオンのテロワールの多様性を表現したこれらのキュヴェが、ちょうどプリムールの試飲で《土壌の違いによる味わいを感じられる素晴らしい教材》と私たちを驚かせたのだった。Cathy Planèsとコンビを組んだこの2人組は1990年の初めにスタートしこの特殊性を広めていった。ヴィニュロンの感性はますます磨かれていき、生きる人々の大きな関心を引いた。このラングドック復活のパイオニアの死が大きな穴を残したとしても、私たちはこれからもドメーヌの挑戦が続いていくことを心から願ってやまない” 
- ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス