Domaine Loew

ドメーヌ・ローヴ

粘土石灰とマール土壌が生み出すしっとりしたアルザス
アルザスのブドウ生産地帯の北端、アルザスワインの中心地コルマールから50キロも離れた場所にある小さな村Westhoffen(ヴェストーフェン)。協同組合が幅を利かせるこの村にはドメーヌは僅か2件、ワイン産地としては見過ごされがちなこの場所で18世紀から続くワイン造りの伝統を受け継ぐエティエンヌ・ローヴが運営するドメーヌ・ローヴがあります。エティエンヌはボーヌでBTS(醸造栽培上級技術者資格)を取得後、より知識を深めるためディジョン大学でオノログの資格を取得、ブルゴーニュのジャン・マルク・ボワイヨ、ソーテルヌのレーニュ・ヴィニョーやスイスのウルス・ピルシャーで研修しワイン造りを学んだ後、スペイン、オレゴンでも経験を積み1996年、23歳の時にドメーヌを立ち上げます。研究熱心で豊富な知識を持ち、今アルザスのエティエンヌと言えば、ドメーヌ・ローヴと誰もが口にするほどの高い品質で不動の地位を築いています。  
彼らの祖先は1743年にスイスからこの地へやってきて、11世紀頃からこの地でブドウの栽培を行っていた一族とつながりを持ちました。1979年までずっとワインを造っていたものの、エティエンヌの両親はヴェストーフェンで幅を利かせる協同組合へブドウを卸すことを決意、しかしながら彼が自らの手でワインを造りたいと明かしたとき、彼らは村一番の好立地の斜面の畑を買い足してくれたのです。
  
ヴェストーフェンのポテンシャルの高さを証明
ドメーヌの畑は5つのコミューンに点在し、2つのグラン・クリュを含む計11ヘクタール。ヴェストーフェンは円形闘技場のように周囲を丘や森に囲まれた地形をなしています。ここはバ・ランでも標高が低い場所に位置し、特有の風や日照を遮るものもなく、温暖かつ乾燥した気候で、8月から9月にかけては豊富な日照に恵まれます。ブドウ畑は北と南を向いており、北向きの丘は石膏を含んだ赤や緑、黒のマール(泥灰土)からなる土壌、南向きの丘は小石、Muschelkalck(ムシェルカルク、化石化した貝を含んだ石灰)とウーライト石灰岩で構成されています。水はけのよさと保水性を兼ね備え、バラエティーに富むこの土壌がローヴのワインに多様性と奥行きを与えるのです。   
                    
ローヴでは創業当時から農薬などを極力使わずに栽培していましたが、2006年からはビオまたはビオディナミを徐々に取り入れ2009年にはエコセールの認証を取得、2010年からはすべてビオディナミで栽培、2012ヴィンテージよりすべてのワインがデメテールの認証を得ています。各テロワールが持つ本来の個性を存分に発揮させるために、醸造はパーセルごとに行われ、人工酵母や酵素などは一切不使用。無論、シャプタリザシオン(補糖)や技術に頼った人工的な果汁の濃縮なども行いません。「ワインはセラーでではなく畑で造られるものだ。無論、セラーの清潔さはとても重要だけれど。」春に行う芽かきにより収量を制限、収穫は100%手摘み、空気圧搾機でゆっくりと時間をかけてプレスし、24時間のデブルバージュで澱を沈めます。7~12日後には自然と発酵がスタート。一部のキュヴェを除き、ローヴではすべてのワインはステンレスタンクで醸造・熟成。キュヴェにより1~2回澱引きしてからフィルターにかけ、翌年春から夏にかけ最低限のSO2を加え瓶詰します。