Domaine Bernard Millot

ドメーヌ・ベルナール・ミヨ

ヴィンテージごと違いが分かるフレッシュなムルソーを造りたい                       著名なドメーヌがひしめくムルソーの村の中心にひっそりと佇むドメーヌ、ベルナール・ミヨ。飾り気のない小さなドメーヌですが、初めての収穫が1800年ごろに行われたという記述が残る古い歴史を持っています。現在8ヘクタールの畑は大変小さな約20区画に散らばっています。その全てが先祖代々受け継いだもので家族以外から購入した畑は一切ありません。代々、ブドウの木々はもとより自然を敬うことを第一に栽培を行ってきたミヨ家。                             2016年に経営を退いた父ベルナールに続き運営を担うのは息子のエミリアン・ミヨ。志の高い彼が目標とする生産者ははす向かいのドメーヌ、アルノー・アントです。世界的に入手が困難となってしまったアルノー・アントのワインもそうですが、今やムルソーではかつての樽が効いたバターっぽいムルソーとは真反対の、繊細で複雑、ミネラルの緊張感が表現されたワインが求められています。エミリアンが追い求めるムルソーもフレッシュさと同時に各ヴィンテージの特徴がしっかりと表現されたムルソーです。そのためワイン造りから醸造、熟成に至るまで工夫を重ねています。畑では除草剤や化学肥料を使用せずほぼビオロジックで栽培していますが、それは認証を得るという目的ではなくあくまでも良いブドウを収穫するため。補糖をしないという目的のもとしっかりと完熟したブドウを収穫するため、常に遅く収穫を行います。
培養酵母も一切加えることなく醸造、樽で発酵、熟成させますが新樽はプルミエクリュでも20%までにとどめ、8~10年の古樽を主に使用することを好みます。また、バトナージュも一切行いません。エミリアンにとって新樽の強すぎる要素、そしてバトナージュはテロワール本来の味わいを消してしまい、同じような味わいのワインを生み出してしまうと言います。
2012、2013、2014年と続いた雹の被害により収穫量が少ないうえに2016年は霜の被害を受けました。それでも前向きに突き進んでいく情熱を持ったエミリアン。「常に同じ品質が求められる肉やチーズ、パンと違い、ワインはいつも驚きを与えるものであるべき」というのが彼の哲学。ヴィンテージごとの個性、テロワールごとの違いがはっきりと手に取るように分かるその驚きを消費者に与えたいと意気込んで語ります。試飲の最後にブラインドテイスティングで出されたのは何とパストゥーグランの白。「畑でとれたピノ・ノワールとガメイを我々の方法(白ワインを作る方法)でやってみただけ」と話しますが大変バランスが良く驚かされました。これからの将来も大変楽しみな生産者です。